トンボロ芸術村 優秀賞

「夜の南風程よく島を溶かしゆく」

篠原 和義 / 鹿児島市

審査員 四元 幹雄 先生

夏の夜、南の海から吹く湿った季節風。何かしら、もゃーっとした風強い風ではないだろう。四方を海に囲まれた甑島、特に里地区はトンボロで形成されており左右の海が近い。この地で読まれたかどうかは不明だが、夕方から夜にかけて段々と島全体が薄っすらとした暑さと湿り気に覆われていく。まさに島全体が溶かされている様と時間が目に浮かぶ。特に中7の「程よく」と表現された言葉は情景にぴったりとマッチしている。一読して詩的な一句と思われた。