トンボロ芸術村 優秀賞

「恐竜のなみだの化石さくら貝」

山口 雄二 / 鹿児島市

審査員 園田 千秋 先生

季語はさくら貝。季節は春。花貝とか紅貝とも呼ばれるニッコウガイ科の二枚貝で、殻が美しいので貝細工に用いられる。ところで、桜貝は恐竜の涙の化石だという発想がユニークで、ポエジーだと思います。イメージの相違が、この句のおもしろさだと思います。恐竜というとティラノザウルス( 暴君竜) のような肉食恐竜をイメージすることが多く、涙とは結び付かないイメージですが、作者はティラノザウルスのような肉食恐竜も涙を流すこともあっただろうと想像したのでしょう。我々と同じような心の動きを持っていただろうと想像したのでしょう。