優秀賞 「白亜紀を醸す断崖虹立てり」

優秀賞

「白亜紀を醸す断崖虹立てり」

薗 孝湖 / 霧島市

審査員 園田 千秋 先生

中七の「醸す」という語の配置が句の中心となる言葉といえましょう。醸すという語は、醸造する、ある状態をつくり出すという意味ですが、ここでは「つくり出す」という意味だと思います。白亜紀の地層が見えている断崖の光景を、断崖が白亜紀を作り出していると視点を変えて表現しています。そして、虹立てりという季語を含むフレーズの「立てり」は、断崖の語にもかかわっているように思えます。光景に深みをあたえる言葉の発見が、句の評価を高めることがありますが、この句もそういう評価を得られる句だと思います。