南日本新聞社賞 「長目まで渡る法螺の音かずらたて」

南日本新聞社賞

「長目まで渡る法螺の音かずらたて」

成尾 紳子 / 薩摩川内市

審査員 園田 千秋 先生

長目の浜には、トンボロ地形を生み出した玉石が連なっています。浜に隣接して貝池もあります。法螺は、フジツガイ科の大形巻貝のホラガイの殻頂きに穴をあけ、口金をつけて吹き鳴らすようにしたものですが、貝池とことばの上で重なります。そして、かずらたては里に伝わる伝統行事です。成人式(二才入り)のようなものだと聞いた記憶がありますが、そうだったんでしょうか。長目とかずらたてという、里を代表する行事が組み合わされた俳句です。俳句のおもしろさの一つは、ことばの組み合わせ、取り合わせにあるといわれているようです。また、「渡る」という言葉の配置によって、作者が今、かずらたてが行われている場所にいることが読者に伝わります。句に広がりが生まれたと思います。